岡山県庁舎
施設概要
発注者 | 岡山県 |
実施設計・工事監理 | あい・丸川設計共同企業体 |
施工 | 建築工事:竹中・荒木・蜂谷建設工事共同企業体 電気設備工事:中電工・平松電気工事・木多電気設備建設工事共同企業体 機械設備工事:新菱冷熱工業・中電工・中央設備建設工事共同企業体 |
建築場所 | 岡山市北区内山下二丁目4番6号 |
構造・規模 | 延べ面積49,589.99㎡(本庁舎本館・東棟、議会棟旧館) 本庁舎:地上9階・地下1階(東棟地下2階)、鉄骨鉄筋コンクリート造一部鉄筋コンクリート造 議会棟:地上3階・地下1階、鉄筋コンクリート造 |
工期 | 2020(令和2)年10月~2024(令和6)年3月 |
設計趣旨
昭和32年に建設された本庁舎本館及び議会棟旧館は、震度6弱程度の揺れに耐えられないおそれがあると診断され、老朽化が著しく、また、本庁舎東棟に設置された主要な設備機器が更新期を迎えるなど、防災拠点機能の継続が求められる中、「耐震化」「長寿命化」「浸水対策」を主要な柱として、大規模改修工事として設計された。
また、戦後のモダニズム建築の旗手である前川國男が手掛けた最初の庁舎建築であることから、その文化的価値の保存に努めることとした。
工事概要
「耐震化」については、柱・梁で構成されるラーメン構造の本庁舎本館には、制震ブレースと複合型制震ダンパーを設置することで、地震エネルギーを吸収させる補強工法を、議会棟旧館には、在来工法である鉄骨ブレースによる強度・靭性型の補強工法を採用している。
「長寿命化」については、構造躯体の中性化対策や、外装材、天井支持部材といった二次部材の落下防止対策に加え、受変電設備等の主要電源回路の並列化による停電リスクの低減、会議室の執務室化を容易とする電気通信インフラの増強等を行っている。
「浸水対策」については、冠水時の機能不全防止対策として、地下2階に設置してあった空調設備の熱源(燃料式)や受変電設備等の重要機器を地上階に配置し、空調設備の熱源(電気式)や非常用発電機を再整備し、全庁的な機能喪失の回避と高効率機器の導入による省エネルギー化を図っている。
特徴・価値
岡山県庁(本庁舎本館)は、当時では新しい材料とされていた鉄・コンクリート・ガラスで構成され、近代建築の5つの要点(ピロティ、自由な平面、自由な立面、水平連続窓、屋上庭園)を具備しており、戦後の開かれた庁舎を目指し『県民の家』をコンセプトに計画されている。
特徴的な外装材(カーテンウォール)は、庁舎建築では初めて岡山県庁舎で用いられ、当時のスチール製からアルミ製に更新することで、軽量化や屋内の気密性向上等を図りつつ、意匠性を損なうことなく当時のファサードを保持している。そういった既存デザインの踏襲に取り組むことで、文化的価値を維持し、国の登録有形文化財に登録された。